秋の集いin佐渡
(04.10.11)

花田幹事の獅子奮迅の働きで佐渡の集いは盛況でした。
前日に大きなイベントがあり、また書きの収穫時で忙しい中
佐渡の患者さん一家を初め、ご家族が何人か、
そしてケアマネ・保健師・市職員・学生ボランティア等々
暖かくもてなしてくださいました。
本間先生のご講演も素晴らしく暖かみのあるものでした。

船で横山・猪爪さん トキのむら元気館 伝の心でメッセージ
本間先生のお話し 本場佐渡おけさ 交流会
 
秋の集いin佐渡
*   レポーター:織田 孝 
 平成16年10月11日(体育の日)新潟港を9時30分発「おけさ丸」で患者さん5名を含む19名で出発。出発と同時に小雨が降ってきたが、佐渡に到着するころには秋晴れの良い天気になり、海は穏やかで予定通り11時50分両津港到着。花田幹事らの出迎えを受け、横山号・JALSA号と迎えの車2台に分乗し会場の「ときのむら 元気館」へ12時半過ぎに到着。13時より花田幹事の司会で秋の集いが開始された。 参加者数約100名[患者さん7名と付き添い、患者さんの家族だけ2家族、佐渡市役所・佐渡訪問看護ステーション・佐渡総合病院・佐渡保健所などの関係者、佐渡看護専門学校学生10数名、支部関係者等] と大勢参加。
横山支部長開会の挨拶>
 こんにちは。佐渡の皆さんには初めてお会いする人が殆どと思います。
昨年10月から猪俣支部長の後任を努めさせていただいています阿賀野市の横山勇夫と申します。今日はよろしくお願いします。佐渡は学生時代と15年前に訪れました。呼吸器を着けて6年になりますが、こうして再び訪れることが出来て喜んでいます。佐渡交流会の準備に奔走されました花田幹事・保健所の五十嵐保健師初め関係者の皆様本当にありがとうございます。
私が支部長を引き受けた理由のひとつをお話しして開会の挨拶としたいと思います。ALS患者が病の進行で呼吸器を着けて生きる道を選択した場合、乗越えなければならない様々な問題があります。その中で患者自身が発する意思伝達手段が大事と思います。猪俣支部長は極限に近いスイッチ操作で心に響くメッセージを伝えて来ました。猪俣さんの意思を受け継ぎ、声を失くした私が最新の意思伝達手段を使い、自己発信する事にしたのです。皆さんにお渡しした新聞コピーはわずかに動く親指で1年間メール発信した成果です。意思伝達装置は介護者との意思疎通に限らず、全国の患者さんとの交流手段にもなります。
 今日は本間先生の講演のあと交流会で皆さんと意義ある時間にしたいと、少数精鋭で張り切って来ました。よろしくお願いします。
私事ですが明日はまだ訪れていないスカイラインに足を伸ばしたいと思っています。最後に、私と妻が支えにしています宮城の鎌田幸子さんの言葉をお伝えします。
「人は様々な形で生きています!夫が呼吸器を着けて生きて居てくれる。この形が私達はベストなんです」 しかし、ご主人の竹司さんは残念ながら昨年亡くなられました。過酷な条件を前向きに生きる姿は私達の心に刻まれているのです。
 今日の集いが皆さんのこれからの生き方に活かされる事を願いまして挨拶を終わります。                              2004年10月11日  横山勇夫
 次に、若林JALSA新潟県支部事務局長より県支部の活動状況・患者さんのケア事例およびスイッチ・機器・道具類の紹介があり、特に呼吸器患者やバイパップ使用の患者さんのケアにはチームケア(医師・看護師・保健師・訪問看護・介護事業所・患者家族など)が必要であることを強調された。

続いて、老人保健施設さどの本間義章施設長より「ALS患者さんの介護に関わる諸制度について」と題して講演をいただいた。
<本間先生講演要旨>
ALS療養の理念として、西澤教授のノーマライゼーションは非常に重要である。
普通の当たり前の生活をする。そのためには闘わなければならない。スモンは闘った。療養には、在宅療養か入院療養かを決めなければならない。
呼吸器患者の在宅療養を可能にするには、理解ある医師・良い介護者・サポート体制・それと経済的な安定が重要である。
 入院療養できる病院が非常に少ない。これから入れる病院はないかと新潟の先生みんなに聞いた。徳州会山形病院は補助金を集めて患者長期療養病院としてメリット・デメリットとがある。その点公立病院は良いがプライバシーがない。阿賀野病院がどうぞどうぞと言っている。新発田病院・市民病院は急性期中心だからダメ。西新潟中央病院は1名だけと言っている。看護師からそう言われていると、看護師が決めるんです。手が掛かるからです。老健でもALS患者さんを扱ってしまえば大したことないんですよ。怯えているだけなんですよ。
 ALSはベンツのように医療でも福祉でも最高の扱いをしてもらえる。しかし、呼吸器が大変です。呼吸器がなければ普通の病気と同じです。 ただ、呼吸器に事故は付き物、事故があったら勘弁してねと、事故覚悟で付けること。
家庭環境が良いと在宅療養ができる。 ヘルパーさんは上手な人、下手な人がいる。
良い医者と良いヘルパーを見つけることが大事。医師はALS患者さんを持つと変る。全人的医療をせざるを得ない。
 前にも言ったように、呼吸器の患者さんの在宅療養には、経済的安定がなければならない。「保険会社には言えないかど、告知する前に保険に入っているかどうか聞くんですよ。入っていない人は直ぐに入ってもらってからしばらくして告知する。僕の患者さんで経済的に困った人はいませんよ」。
 最後にある老人夫婦の話をします。「長い間介護されているお爺さんがいて、お婆さんがもう死にたいだろうなと思って、そう言ったら瞬きしない。まだ生きたい?と聞いたらパチンと合図した。」と言う話がある。人は皆生きたいんですよ。
本間先生の講演の後、佐渡市羽茂民謡研究会の皆さんによる民謡が披露された。
「相川音頭」「佐渡おけさ」「両津甚句」をにぎやかに唄と踊りが披露され、なごやかな一時を過ごした。


休憩を挟んで交流会を実施。
患者さん・ご家族が輪になって、それぞれの思いを話し合った。
本土からの患者さん5名、佐渡の患者さん2名、それに佐渡の患者さんは出席できずにご家族が出席された2家族が発症から現在に至るまでの状況や思いを話された。
最近告知を受けた方、まだご本人に告知をされずにいる方などに大いに参考になり、
また、励まされたものと思われます。とても有意義な会ではなかったかと思います。
予定通り4時に終了した後、個々に交流を深めた方もおられました。

本土から参加の4名は、都合により日帰りされ、残り15名は佐渡市市野沢の「サードプレイス」に宿泊をし、とても家庭的なペンションで、なごやかな時を過ごすことが出来た。
翌日は、皆さんで佐渡トキ保護センターを見学した後、横山支部長一家はスカイラインへ、その他は能楽の里へ見学をし、楽しく過ごした。能楽見学組は12:30発・スカイライン組は16:10発のカーフェリーで新潟に無事帰り、2日間の旅は幕を閉じた。